2013年11月01日

#30 本物の『わんこそば』

僕の第二のふるさととも言える岩手の盛岡で、最も伝統ある食べ物といえば『わんこそば』です。皆さんも名前だけは耳にしたことがあるでしょう。本場の本物の『わんこそば』とはどういうものなのか、その本質について語ってみたいと思います。

『わんこそば』とはお椀(方言で『わんこ』と言う)に入った一口分の南部そばをどれだけ多く食べられるかを競うのもので、食べた分だけのお椀が目の前に高く積まれていき,自らお椀に蓋をしない限り、エンドレスで継続するという恐ろしいシステムになっています。

『わんこそば』.jpg
     
そのむかし僕の住んでいた学生寮の催しとして『わんこそば』大会が開催されました。どれほど多くの『わんこそば』を食べることができるのか競争したのです。その大会での最後の二人が競い合う場面では、それはもう大変な盛り上がりで、見事優勝したO君は口元からそばがはみ出て今にも吐き出しそうな形相だったのを覚えています。僕はと言えば寮母さんと大して変わらない杯数(約40杯)でブービー賞でした。
このように『わんこそば』はそばを味わうというよりも余興のような側面も強く、大勢で競い合うのが最も『わんこそば』らしい『わんこそば』なのだと思います。

今年の夏に里帰りの途中に盛岡に立ち寄り、久しぶり生涯二度目の『わんこそば』に家族3人で挑戦した次第です。盛岡で『わんこそば』といえばこの店、東屋(あずまや)本店です。以下にその様子を解説いたしましょう。

最初の20杯くらいまでは『やっぱり南部そばはうまい!』と舌鼓を打ちつつ、薬味にも箸をのばす余裕があります。
しかし、だいたい50杯を越える頃から苦しくなって、給仕のお姉さんの手際の良さとタイミングだけで持っている感じなります。味覚は薄れていきます。
『罰ゲームかよ!』とサマーズなら不謹慎に言うことでしょう。
この頃には皆一様に無口になり、ひたすら椀の数を増やすことにしか関心が無くなります。食べるときには無駄な動きがまったく無くなっていて、言わばマシーンと化すのです。会場は給仕のお姉さんの『それ!』『はい、どんどん』という声だけが響く実に異様な雰囲気です。彼女たちの無表情さが静かなプレッシャーに。彼女らもマシーンなのだろうか。

70杯を越えると、それはもう箱根の坂を登るがごとくです。一杯一杯を食べるごとに大きな深呼吸を伴うようになります。それは食べるというより飲み込むという術を身につけ始めた証明です、そう、歯医者が言うのもなんですが、このステージでは歯というものが必要ないのです。人間、短時間でここまで適応できるとは!
と同時にどうしてそこまでやるのか?と思うでしょうが、それは、そこに『そば』あるからだ、としか言いようがありません。本当にそんな雰囲気なのです。

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今回、僕は旅先につき胃腸に気を使って82杯で止めました。
一方、なんと娘は88杯でした。女子ではりっぱなものです。
さらに『もう少しで100杯いけたのにパパが止めとけ!なんて言うから』と今でも責められております。知らなかったのですが100杯越えると証明する木の札がもらえたらしいのです。ちなみに東屋の記録によると500杯以上の猛者がいたようです。信じられません。

このようなユニークな『そば』の食べ方がどうして広まったのでしょうか?
諸説あるようですが、昔から祝宴ではそばを振る舞う風習があって、その際に大勢に一度に、茹でたそばが美味しいうちに食べてもらおうと、小さなお椀に少量ずつ盛って出したことが始まりと言われています。美味しいものを美味しいうちに皆で食べてほしいという『おもてなし』、またその気持ちに応えるべくたくさん食べてあげるという『思いやり』、この説を信じたいものです。

ところで正当な『わんこそば』の定義は @お椀に一口分のそば、A給仕がつくこと、Bそばは温かいこと、だそうです。これらを満たさないものは偽物です。
盛岡を旅するときには 東屋(あずまや)で是非、本物に挑戦してください。
料金はいくら食べても3,000円くらいの定額制です。詳しくは東屋のHPで。

東屋本店.jpg


あとがき
最近嬉しいことがありました。
ある患者さんから僕のブログを楽しみにしていると伝えられたことです。ありがたいことです、本当。こんなささやかな、食べ物のことばかりのブログですが、読んでいただけると思うと俄然やる気が出ます。仕事の合間のことなのでなかなか本数を増やせませんが、これからも頑張ります。


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posted by S.Shimizu at 21:00| 院長ブログ